12人の怒れる男
先日の授業で“十二人の怒れる男”(12 Angry Men)を見た。これまで一度も見たことが無かったが、この映画自体はかなり有名だそうで、リメイク版もいくつかあるようだ。チームで決定を下す際の人間模様が描かれており、映画館では10分以内にうとうとする私でも寝なかった。(授業では全部は見れないので20%くらいの部分はカットしてました。)

概要は、陪審員12名が父親を殺した罪で裁判にかけられている未成年の少年の判決を決定するというもの。有罪なら電気椅子(教授が白版にchairと書いたのでそうだと思います)送りになる。そして、有罪・無罪の判決には満場一致が義務付けられており、十二人の意見が揃う必要がある。

少年は、スラム育ちで日頃から父親の暴力を受けていたり、喧嘩などのトラブルも多くナイフの使い方にも慣れていた。そして、事件当日、少年は珍しいデザインの凶器と同じものを購入していた。また、証言者によると父親が殺される直前に「殺してやる」との男性の声を聞いており、その後に走り去る男が目撃されていた。また、少年は事件当時に映画を見に行っていたと言っているが、何の映画を見たのかは覚えていない。

以上のような少年完全不利の状況の中でどのように12名の陪審員たちが議論を繰り広げるのか。最初の投票では、11名が有罪、1名(Davis)のみが無罪を主張した。陪審員の大勢は、今回の有罪は証拠から明らか過ぎるので早く帰れると高を括っていた。ところが、1名だけは「やったかもしれないが、やっていないかもしれない。だから有罪とは言えない」という常にニュートラルの立場に立ち、皆に偏見で物事を見ることの誤りを説いていく。我々が学習すべき点は、11対1という絶対不利の状況の中で、Davisがいかに相手を説得させていったのか

時には無記名投票を行ったり、時には皆の反発を全て聞いた後、抜群のタイミングで新たな証拠を出し反対者の意見を封じ込めたりしていた。彼が主張したかったのは、「偏見や先入観だけで意見を言ってはいけない」ということだと思う。彼は実際に彼が有罪か無罪かは分からないと何度も言っていた。同時に事が偶発した“可能性”を強調しており、反対者が主張していた「事実から明らかだ」という意見とは視点が180度違っていた。そして、人を説得する際の手順も教えていたように思う。実際のビジネスの場では対立する意見は多々あるが、彼のように裏の裏をついて議論を進めていく技法もとても有効だと感じた。

ただし、ビジネスの世界では事が映画のように理想的には進まないはずだ。裁判に関しては“有罪と決まるまでは人は無罪”という無罪推定の絶対原則がある。だから、この映画で言えば、原則として“無罪である”ことを前提に話を進める方が有効なことは明らかだ。しかし、ビジネスの世界では決まりがないし、正解が事前に分からない。例え、正しい決断を下したとして、後になって状況が一転することは多々ある。つまり、ビジネスの世界では我々は過去の変化しないことに対して決断を下すのではなく、未来の不確定なことに対して結論を下さなければならない。人を説得させる手段としてビジネスで使うためには、更に何か工夫がいるような気がする。
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by life-iedemadr | 2009-01-24 17:45 | MBA 1st Term
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